遠くに見える山々や街路の枝が鮮やかに勢いを増す新緑の季節。心を清々しくしてくれるような初夏の緑に出会いに出かけるなら、京都岩倉の実相院を訪ねてみるのはいかがでしょう。
鎌倉時代に開かれた実相院は、代々天皇家につながる高貴な人々が住職を務めてきた門跡寺院。古くは貴族たちが集って和歌や茶、香を楽しみ、狩野派による襖絵などが数多く残されています。
幕末には公家の岩倉具視がここに幽棲し、維新に向けた密談も交わされました。
実相院といえばよく知られるのが境内にある2つの庭。山水庭園は桜や紅葉など四季折々の表情を見せ、奥の庭池には稀少なモリアオガエルが生息しています。もう1つは静寂な趣ただよう石庭。雄大な比叡の山並みを取り込んだ借景庭園は、しばし時を忘れさせてくれます。
特にこの季節の見どころは、本堂の滝の間。黒々と磨きこまれた床板に映り込む青もみじの美しさは圧巻で「実相院の床みどり」としてあまりにも有名。調度品の保護などのために撮影が禁止されていることから、足を運んだ人だけがその研ぎ澄まされた美の光景を体験できるというわけです。
また、床みどりの時季にあわせて開催されるのが「ボンボニエール展」。皇室の祝い事の際に配られた銀の小箱で、そのいわれとともに鑑賞することができます。
曇天が特に美しいといわれる床みどり。雨の日のお出かけもまた一興です。
実相院
床みどりとボンボニエール展
◆実施日時:2012年6月1日(金)〜6月30日(土)
9:00〜17:00
◆拝観料:大人500円・小中学生250円
◆住所:京都市左京区岩倉上蔵町121
◆アクセス:京都バス「岩倉実相院」下車すぐ
◆お問い合わせ先:
TEL.
075-781-5464
※床みどりを含む建物内は撮影できません。ご注意ください。